スタッフコラム

京都で家を建てる(33)ロングライフ住宅のメンテナンス

ロングライフ住宅イメージ

メンテナンスフリーの住宅はない

ここまで何回かに分けてご紹介してきた、ロングライフ住宅についてのコラムの最終回です。今回はメンテナンスの視点から、ロングライフ住宅について考えてみたいと思います。

どんな住宅でもメンテナンスと無縁というわけにはいきません。風雨や紫外線、温度変化にさらされる屋根や外壁は徐々に劣化をしていきます。また、毎日使われる水まわり機器や、開閉が繰り返される建具も老朽化をしていきます。建物外部も内部も、いつかはメンテナンスの時期を迎えます。

メンテナンスや更新の一般的なサイクルについて、部位ごとにみてみましょう。

屋根

近年多く使われるガルバリウム鋼板の屋根は、10年ごとに劣化した部分の塗り替えをおこないます。そして、およそ30年で葺き替えの時期となります。

外壁

サイディング壁の場合は、10年ごとを目安に再塗装と目地の打ち替えを行います。塗装壁も、10年ごとの再塗装がメンテナンスの目安です。

バルコニー

防水能力を維持するために、15年ごとを目安にトップコートの塗り替えを行います。

キッチン、浴槽、洗面台、トイレ

毎日使う水まわり設備は老朽化しやすい部分です。およそ20年サイクルで本体の交換が必要となります。

給湯機器

水まわり機器と同様に毎日使われる給湯機器は、長期使用において内部部品等の消耗や劣化が生じるため、10年ごとを目安にした交換が推奨されています。

内装

壁クロスや畳は10年を目安に張替え/畳替えします。また、フローリング床は25年が交換の目安です。

床下の防蟻処理

時間が経つと防蟻性能が低下するため、10年ごとに処理をやり変えます。

メンテナンス費用をライフタイムコストに織り込んでおく

以上のように、新築から早くて10年目には何らかのメンテナンスの必要が生じることになりますので、あらかじめその費用を住宅の維持のためのコストとして織り込んでおくことが大切です。

また、メンテナンスのサイクルは、住宅の建築費に関係なく、どんな住宅でもほぼ同様と言えます。「高級注文住宅だからメンテナンスのサイクルが2倍に延びる」とは考えないほうが良いでしょう。また、費用が捻出できないからと延ばし延ばしにしていると、さらに老朽化が進行し、取り返しのつかないことになりかねません。

住宅を常に良好な状態に保つには、新築を検討する段階で、10年後、20年後のメンテナンス費用について目星をつけておくことも必要です。しかし、多くの住宅会社は新築時にそのようなアドバイスはしてくれません。そもそも、社内にあるのは新築部門のみで、メンテナンスはグループの別会社であったり、メンテナンス部門そのものが無かったりで、想定さえしていないことがあるためです。あるいは、お客さんがメンテナンス費用に萎縮してしまい、新築に躊躇するのを避けたいという思いがあるのかもしれません。

その点、中藏にはメンテナンスを専門とする「メンテナンス事業部」が社内にあり、メンテナンス経験も豊富に蓄積されているため、将来のメンテナンスをあらかじめ考えた家づくりをご提案できます。また、お引き渡し後に継続した定期点検を行うことで、将来において不具合となりそうな箇所を早期に見つけ、結果的に大掛かりな補修にの必要につながる事態を回避します。

メンテナンスのコストを抑える家づくり

ここまで読まれた方は「住宅を維持していくのは、けっこう大変だな」と感じられているかもしれません。逆の見方をすれば、住宅がロングライフであるためには、メンテナンスの手間が大きな負担やストレスにならず、また「建て替えるよりお得」と感じられる維持コストでなければならないと言えます。

そのためのポイントをいくつかご紹介しましょう。前述のメンテナンスサイクルでもおわかりのように、風雨や太陽光の紫外線は住宅を劣化させます。これらを避けるには軒(のき)や庇(ひさし)がしっかりとある家にすることが有効です。雨の多い日本気候において、長い軒は雨が建物に直接かからない対策として特に有効です。日本の伝統的な住宅建築に埋め込まれた知恵とも言えるでしょう。これが1つ目のポイントです。

2つ目のポイント。これも雨に関することですが、「雨水は上から下へ自然に流れる」ことが考えられた家にすることです。これを建築用語では「雨仕舞(あめじまい)」と呼びます。施工の常識のように思えますが、完璧とはいえない住宅が多いのが現実です。そして、雨仕舞の不具合は必ず雨漏りを起こし、さらに木造構造の腐食へと繋がります。こうなると、多額の修理費用が発生します。
降った雨が適切に排水され、建物のどこにも残らないことが、ロングライフ住宅にとって必須といえます。

3つ目は、いつの時代にも手に入り、誰でも扱える材料を用いることです。特殊な素材やパーツは避けるのが賢明です。製造が中止になった途端、補修素材もメンテナンス部品も入手できなくなるので注意が必要です。その点、以前のコラム「ロングライフな住宅づくり〈古美るという考え方〉」で書いた、瓦や銅板の屋根、焼杉材の外壁、土や漆喰の左官壁は、入手が困難になる心配はまず無いといえます。

設備機器も同様に、基本性能を重視したロングセラー製品を使うことが安心へと繋がります。機能が豊富すぎる機器ほど、故障のリスクが高まると考えておきましょう。また、先にも述べましたが、どんなに高価なキッチンや洗面台であっても、20年程度で交換しなければなりません。このことを前提に機器選びをするのが、メンテナンスコストはもとより、新築時のコストも抑えることに繋がります。

ロングライフ住宅イメージ

ロングライフ住宅は経験豊富な住宅会社をパートナーに

これまで数回にわたる「ロングライフ住宅づくり」の総括にもなりますが、ロングライフ住宅づくりの成否は結局、20年後、30年後のメンテナンス時期にならないとわからないことが多々ありますが、要因については「新築時に将来のことを想定していたか?」に帰結します。しかし、その想定を新築時期におこなえと言われても、一般の方にとってはさすがに難しいと言えるでしょう。

そのような理由から、家づくりを考える際には、新築時の出来栄えばかりでなく、ライフスタイルの変化に応じた可変性、時を経てのたたずまい、そして、将来のメンテナンスやその費用について包み隠さず説明してくれる住宅会社をパートナーに選ぶことがポイントと言えます。さらに、その住宅会社に「御社で建てて20年以上経過した家を見せて欲しい」と頼むのも良いかもしれません。

中藏では、当社で家を建てたOB様宅の見学会を不定期ではありますが開催しています。また、ご要望いただければ、OB様宅を訪問して見学をさせていただいたり、オーナー様に暮らし心地やメンテナンスの実際を聞いていただくこともできます。ロングライフ住宅づくりのパートナーとして、中藏をご検討ください。