建築事例

13聚楽第の家_中庭

蔵や聚楽第木造/2階

2棟連棟の築年数およそ110年の京町家のリノベーション事例です。
この建物が位置する千本通りと丸太町通りの交差点付近は、かつて平安京の大極殿があった場所とされており、藏や聚楽第北側の公園(内野児童公園)にはそれを記念した「大極殿遺址碑」を見ることができます。
明治42年(1909年)に建てられたこの町家の2階の土壁構成要素である「竹子舞」「荒土壁」「中塗壁」をあえてさらすデザインとなっており、伝統的な方法で造られる土壁の作成過程を見ることができます。
この家は通常、京町家一棟貸し宿「藏や」として営業しておりますので、宿泊予約の無い日はご見学いただくことも可能です。お持ちの町家のリフォームやリノベーションをお考え中の方にもなるかと思いますので、ご興味のある方はお気軽にご連絡ください。

空き家で放置されていた町家を、多くの人に使って頂けるよう、新しく用途変更を行いました。
虫籠窓は姿を消しつつある意匠です。京町家の二階にある、塗壁の窓で、姿形が「むしかご」のようだから、このような名前がつけられました。
レトロなシンプルな照明器具が町家には合います。
糸屋格子と呼ばれるデザインで繊維関係の職種を営む家に見られ、京格子を代表するものです。意匠的には親子格子と呼ばれる形式で、太・細2種類の竪子を規則的に並べたもの。この建物の細い竪子は2本なので、昔は呉服屋だったようです。本数によって職種も変わります。
床は墨を混ぜたモルタル。微妙な濃淡が美しい自然な仕上がりです。
床の壁は荒く仕上げたオリジナルの左官壁。ひかりが当たると豊かな表情がみえます。
レトロなLED照明。
障子から入る淡いひかり。ぼんやりと優しい光が、安らぎの空間を演出しています。
改修前の雰囲気を損なわないように、新しいものと古いものの割合をデザインして調和させます。
和室から中庭をみる
和室テーブルは、漆塗りのオリジナルテーブル。麻の上に何度も漆を塗り重ねてこの質感が生まれます。
南棟の中庭。奥にある石灯籠は以前からあったものを再配置。日本の庭には欠かせない石で作った美術品です。
北棟の中庭。周囲の景色も取り入れて庭の設計がされています。
中庭
中庭
中庭
中庭
立体感のある焼き杉の塀
通り庭部分にある洗面台とキッチンはオリジナル。
一階トイレ
浴槽の内側には国産の天然石、十和田石を採用。水に濡れると青く色づき、見た目にも癒やされます。滑りにくく保温性も高く、機能的にも優れています。
階段上がった中央の和室の壁は昔の仕事がわかるように、あえて竹小舞をみせています。
昔の仕事の跡
ニ階和室
ニ階和室
新旧の表情の違いがわかるように、所々に昔の仕事跡を残しています。
夜の中庭
夜の中庭
夜の外観