スタッフコラム

京都で家を建てる(2)「土地に掘り出しものはあるのか?」

京都での土地探しの実情

住宅を空中に建てるわけにはいきません。必ず土地が必要になってきます。さて土地を探すにあたってどのような点に気をつければよいのでしょうか。

まず、最初にお伝えしておきたいのが「土地に掘り出し物はない」ということです。土地は業界のネットワークなどを通じて出回る情報がほとんどなので、どの土地も価格は相場通りです。もし、格安の土地があったとするならば、情報収集に長けた不動産屋さんがいち早く買い上げて、相場の価格で販売します。一般の人の目に触れることはありません。土地は必ず相場価格で購入することになるのです。

さらに、京都市は三方を山で囲まれた盆地であるため平地には限りがある一方、景観については厳しい規制があるため容易に山を切り崩して宅地にすることはできません。また、日本を代表する観光地という人気の高さからか、都道府県庁所在地の住宅地平均価格では、東京、大阪、横浜についで4番目に高額となっています。高額であるということは、需要が多いということ。高い土地にもかかわらず、たくさんの方が土地を探されている、それが京都の現状です。

賀茂川沿いの景観

「安い土地」は確かにある、しかし

インターネットなどで土地の情報を見てみましょう。確かに「安い土地」はあります。しかし、それには当然「理由」もあります。周辺環境や交通の利便性、軟弱地盤、不整形地や傾斜地といった土地の形状、北向き(北側接道)の土地などさまざまな理由です。土地は高価な買い物です。購入する際は「安いから」といって飛びつくのではなく、「安い理由」について冷静に判断することが大切です。

周辺環境や交通の利便性を一個人で変えるわけにはいきません。また、今後大きく変わることに期待するのは禁物です。地盤が軟弱な場合は土地改良をすれば住宅の建築は可能ですが、百万円レベルの費用がかかる場合があるので、十分な検討が必要です。

さらに気をつけたいのが「用途地域」です。用途地域とは、都市計画法によって市街化区域を第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域、工業専用地域の12種類に分類し、建てることのできる施設の種類や規模を制限しています。

第一種低層住居専用地域に商業ビルや工場を建てること、逆に、工業専用地域に住宅を建てることはできません。しかし、都市部では用途地域が複雑に入り組んでいるため、優れた住環境のつもりで第一種低層住居専用地域の土地を購入しても、道路一本隔てた敷地が別の用途地域であれば、その後に商業施設や工場が突然建設されても文句を言うことはできません。

いまの環境だけでなく将来のことも想定し、都市計画図などで周辺の用途地域も確かめることが大切です。

不整形地や傾斜地、北向きの土地は狙い目のことも

でも、「結局、安い土地はなんらかの悪条件がセットになっているんだ…」と落胆するのは少しだけ待ってください。同じ割安の土地でも、変形地や傾斜地、北向きの土地といった条件は、設計士のアイデア次第でとても快適な土地になる可能性があるのです。

次回の当コラムでは、不整形地や傾斜地、北向きの土地の意外なメリットについて伝えします。